オリバー・アップル・ヘアー

「「ラスベガスへようこそ」の看板の横を車で騒々しく走り抜けた時、オリバー・アップルの頭の中は一つの事でいっぱいだった。ジャイアント・モンゴリアン・マウンテン・ヒール。オリバーはコレクターだった。少なくとも彼女自身はそう思っていたが、その実態は泥棒だった…それも凄腕の! 彼女はこれまでの人生、様々な物を盗んできた。時間や、心や、その間にある様々な物を…。」

「貴方が私の敵だったら良かったのに」
「オリバー・アップル・ヘアー+シュー」
「10インチ・ボディ PARADE」
「1/6スケール・コレクション」

「オリバーは24時間以内に、ベガスまで辿り着いて獲物を確保し、そして脱出しなければならなかった。この美しいジャイアント・モンゴリアン・マウンテン・ヒールはモンゴルの平原を放浪しているのが自然の姿だが、今や観光客相手に卑しい芸を披露させられていると、そう彼女は『ワッツ・アップ・ウィズ・ジス・シット』誌(略してWUWTS)の記事を通して知った。また、ヒール達は夜毎ぶたれ、本来の餌であるロシアン・シルク・ストッキングを与えられる事も無く、かろうじてシケモクが投げ与えられるのみである、と記事は続いた。もしこのヒール達に目がついていたのなら、きっと涙を流す事だろう。

コレクションを充実させるためには直接的なアプローチが最も効果的だと、彼女は長年の経験で知っていた。「ハイファルティン・シューズ・オブ・ザ・ワールド・サーカス」の場所をつきとめた彼女はそのまま中へと入り、手の一振りでもって檻の鍵を開けてしまった! ヒール達は身を寄せ合いながら恐怖で凍り付いていたが、たった一匹、赤いヒールだけは例外で、それはゆっくりとオリバーの前に進み出ると、彼女の周りの空気をやさしく嗅いだ。その鼻先(素人のために説明すると、すなわち靴のつま先部分)にオリバーが人差し指を押し付けると、その瞬間から両者の間に絆が生まれた!

サーカスの従業員がオリバーをみつけ、怒号を上げた。彼女は腕を振り上げ、「お逃げなさい!」と叫び、囚われのヒール達を檻の外へと追い立てた。ヒール達はそれぞれ思い思いの方向へと飛び跳ねて行った(ご存知の通り、ジャイアント・モンゴリアン・マウンテン・ヒールの突進は止め様が無い)。

自らも脱出すべく踵を返したオリバーは、そこにたった一つ残っていた赤いヒールに気がついた。それは仲間と逃げずに、新たに友人となった彼女の事を待っていたのだ。にやりと笑うと、オリバーは赤いヒールに飛び込み、退散した。町を出る際に「ラスベガスへようこそ」の看板に手を振り、ほんの僅かな間微笑んだ。

オリバーと赤いジャイアント・モンゴリアン・マウンテン・ヒールは数多くの冒険を共にし、そして数多くの物を盗んだ。多くの人は、オリバー・アップル・ヘアーの最高傑作はその完結編にあると言うが、その話はまた別の機会に語るとしよう!」